日本人の平均寿命が、過去最高を更新しました。

どこまでも伸びる日本人の平均寿命ですね。2013年の男性の平均寿命は80.21歳で、前年より0.27歳上がって、初めて80歳の大台を超えたそうです。女性は86.61でこちらも過去最高を更新。前年より0.20歳高くなったそうです。これは本当に喜ばしいことなんでしょうか。私もときには病院に行きます。で、検査などでさまざまな部屋を移動します。そのときに、たまにベッドに横たわったまま検査を待つ患者さんを見かけます。顔を真上に向け目の瞬きはほとんどなく、口は指が入れられるくらいの幅で開けたまんまで、ただただその状態で検査を待っているのです。かすかに胸に掛かった布団が上下するので、存命であることはわかります。しかし、一言も言葉を発することはなさそうです。いわば、生けるしかばねような存在です。注意深く首回りを窺うと、胃瘻があるようです。食べる楽しみもなく、ただただ定期的に生きるための栄養源を咀嚼することもできず、味わうこともできずに胃に直接流されるだけです。昔々に映画「ジョニーは戦場に行った」を見たことを思い出します。戦争による大けがで、目、鼻、口、耳、両腕、両足をすべて失った若者の物語です。感触をすべて失った若者が病院のベッドの上で、何を考え、何を望むのか、と言ったような内容です。「ジョニーは戦場に行った」は知る限りその後、テレビでは放映されていないようです。そんなわけで、ただただ平均寿命の向上だけを目指しているとしたら、人間の尊厳など蹴らしかねない感じがしますよね。今は平均寿命より、健康寿命だといわれています。健康寿命と平均寿命の差のない方が、人間としての生きる喜びに充ちて、充実した人生が送ることができると思うのですが。意に反した延命は私だったら拒否したいと思うのですが。それでも平均寿命は伸びるのですねえ。